現代日本を覆うこの閉塞感はなにか。それは、日本を導くべき政治そのものが、自らの保身を第一義とし、本来切り込まなくてはならない課題を先送りしているためである。そして、国家百年の計どころか、数年後の国家さえ、自らの利益の前提でしか物事を考えていない政治を今打破しなければ、我が日本の将来はない。
利権集団の手先と化した政治家や、政治圧力や広告主の顔色をうかがい、本来伝えなければならないことを言えない利益集団と化したマスコミが、主流を占めている。しかし、そのような声に、本当の問題を解決し、今後の日本の進むべき道を指し示す力があるのか?
昭和初期において既得権益の改革、日本の精神的な先進国入りの道筋を示しながらも、二.二六事件の思想的首謀者として銃殺刑にされた北一輝先生が、現在の日本を見たらどう思われるだろうか。失望に打ちひしがれた北先生を私は容易に想像できる。
終戦後の1956年、岸信介議員との激しい自民党総裁選挙を制し総理に就任された石橋湛山翁が思い描いた、貿易立国日本、科学技術立国日本が崩壊している。資源が少なく、国土が狭い日本の外交戦略の基盤が武力ではなく経済力であることを理解していない政府に肩を落としている石橋湛山翁の嘆きが聞こえる。
11.5兆円の貿易赤字のうち実に7兆円に相当する産業空洞化。学生の理系離れとリスクを取らないサラリーマン化した研究者。短期的な利益の追求により産業の基礎体力が劇的に低下している経済界。党利党略を優先し世界情勢の劇的な変化に対応できずにいる政治。
今こそ、私たち日本国民全員が、他利の精神で先人が築いた我が日本の再興に全力を挙げなければならない。
私もその一端を担う覚悟である。